根こぶ病耐病性で、耐暑性に優れる早生品種
特性
1. 播種後90日前後で収穫できる早生品種。
2. 草姿は開張性で、草勢は中程度。花蕾位置はやや低い。
3. 根こぶ病に耐病性がある。
4. 花蕾は小粒でスムーズなドーム形。
5. 耐暑性に優れ、高温期におけるキャッツアイなどの生理障害に強い。
適応性
高冷地・冷涼地の4月および6月播種で、7月および9月収穫、一般地・暖地の7月下旬〜8月上旬播種で、10月中旬〜11月収穫の作型に適します。春まきはボトニング(早期出蕾)のリスクが高いため避けます。また、低温期の収穫も花蕾にアントシアンが発生しやすいため避けてください。
作付計画
本品種の特長として、早生で耐暑性が優れる点があります。一方で高温期の収穫は、花蕾の肥大速度が早いため、収穫する労力の規模に応じて、作付けを計画します。
畑づくりと施肥設計
ブロッコリーは、多湿条件を苦手とする作物です。適度に水持ちがよく、排水性のよい圃場を選んでください。排水が悪い圃場は、排水溝の設置や高畝栽培など、排水対策をします。総施肥量(元肥と追肥の合計)は、10a当たりの成分量で窒素20kg、リン酸25kg、カリ20kg程度が標準です。ただし、土質によって肥料の効き方と持続力が異なるため、圃場に合った施肥設計を心がける必要があります。窒素成分の過剰施肥は、病気の誘発、リーフィーやキャッツアイの発生、花蕾の不整形などの品質低下を引き起こします。また、ホウ素欠乏は、茎の空洞などの生理障害の原因になるため、微量要素を含む肥料をバランスよく施用してください。
播種と育苗
風通しと日当たりのよい場所を選び、播種後は十分に灌水して、発芽まで乾燥させないように管理します。苗が徒長すると、病害虫の被害を受けやすく、定植後の活着が悪くなるなど、生育全般に悪影響を与えます。育苗床の施肥と灌水の管理に注意してください。また、定植前に十分に外の環境に順化させておくと、苗が強健になり、定植後の活着がスムーズになります。
定植および定植後の管理
標準的な栽植株数は、10a当たり約3,500〜4,000株です。定植後、速やかに活着させ、初期生育を促すため、乾燥時には灌水を心がけてください。活着後は、除草や根張りを改善するため、中耕・培土(土寄せ)を行います。追肥は、株の生育具合を確認しながら適宜施してください。
病害虫防除
本品種は、根こぶ病に耐病性がありますが、菌密度が高い圃場や条件では、根のこぶが早期に発達して収穫に至らないことがあります。そのため、圃場準備および定植時の薬剤散布や排水対策など、総合的な防除を行ってください。また、本品種の特性上、病害虫が発生しやすい高温・多湿条件下で栽培となるため、予防的な防除を徹底するよう心がけてください。
収穫
高温期の収穫となるので、定期的に圃場を巡回し、とり遅れがないように計画的に収穫します。気温の低い時間帯に収穫し、収穫後は速やかに低温条件に置き、品質の保持に努めます。